天然温泉とは?人工温泉との違い 基礎知識や見分け方を解説
2023.10.07
天然温泉とは?人工温泉との違い 基礎知識や見分け方を解説

温泉」には条件があるのをご存知でしょうか。
温度や成分の条件がクリアされていなければ「温泉」とはされません。

実は、このことは「温泉法」でしっかり定められています。
温泉がお好きな方は、温泉の定義や人工温泉との違いについてこの機会にぜひ知っておきましょう。

【目次】
・天然温泉とは?温泉の定義
・天然温泉と人工温泉の違いについて
・天然温泉と人工温泉の見分け方
・それぞれの特徴を知り、温泉を選ぼう

 

◆天然温泉とは?温泉の定義


天然温泉とは「温度が25度以上で、法律で指定された成分や天然ガスが規定量以上含まれている地中から湧き出る温水など」と「温泉法」で決められています。

 

・天然温泉について

「天然温泉」と「温泉」の違いは何でしょうか?
温泉法による定義はありませんが、「天然温泉」イコール「温泉」と考えてよいでしょう。

「温泉法」によると、「温泉」とは、地中から湧き出す温水・鉱水、ガス、水蒸気または法律で定められた成分が、以下の規定値を満たしているものの総称とされています。

1. 温泉源からとれるときの温度が摂氏25度以上
2. 以下に掲げる物質のうち、いずれか一つを含む
・総量1,000ミリグラム以上のガス性のものを除く溶存物質
・250ミリグラム以上のCO2(遊離炭酸)、遊離二酸化炭素
・1ミリグラム以上のリチウムイオン(Li+)
など

 

・25度未満の温泉は存在する?

25度未満の温泉は存在するのでしょうか?
温泉法によれば、「温度」か「物質」のどちらかの条件をクリアすれば「温泉」と呼んでよいことになっています。
つまり、法律で指定された成分や天然ガスが規定量以上含まれている温水や鉱水であれば、たとえ温度が25度以下でも温泉と認められるのです。

しかし、海水や泥水、入浴剤が入ったお湯などが「温泉」と認められるわけではありません。
「地中から湧出(ゆうしゅつ)する温水、鉱水や水蒸気、炭化水素が主成分である天然ガスを除くその他のガス」であればよいとされています。
つまり、地中から自然に湧き出されていることが条件であり、液体ではなくとも、「水蒸気」や「ガス」であっても、「温泉」と呼ぶことがあるのです。

 

・天然温泉の一つである療養泉

「療養泉」といわれるものがありますが、これも「温泉」に含まれるのでしょうか?
「特に治療の目的として利用され、指定の物質が規定濃度以上含まれているもの」が「療養泉」であると温泉法で決められています。

含有成分の種類などによる療養泉は以下の10種類に分類されますので、泉質をチェックして自分の肌に合った温泉を選ぶとよいでしょう。

A:単純温泉
B:二酸化炭素泉
C:炭酸水素塩泉
D:塩化物泉
E:含よう素泉
F:硫酸塩泉
G:含鉄泉
H:硫黄泉
I :酸性泉
J:放射能泉

一般的な温泉よりも指定成分が多く含まれるのが、療養泉の特徴で、弱酸性や弱アルカリ性など、泉質によって肌に与える影響が異なります。

 

◆天然温泉と人工温泉の違いについて


「天然温泉」という言葉もよく耳にします。
「天然温泉」と「人工温泉」とはどこが違うのでしょうか?

 

・人工温泉とは

「人工温泉」は、温泉の成分を人の手で加えられたもののことで、地中から自然に湧き出てきたものではありません。

温泉の成分としては、厚生労働省に承認された医薬品や医薬部外品が用いられた天然鉱物由来の薬剤などがあります。

なお、市販されている入浴剤を家庭の浴槽に入れたものは、人工温泉ではありません。

 

・効能が期待できる人工温泉も

人工温泉は「療養泉」ではないので泉質や効能の表記は必要がありません。

しかし、効能が認められた医薬品や医薬部外品が含まれるため、天然温泉と同じような効果を持つ人工温泉もあります。

無味無臭であることが人工温泉のメリットです。
温泉のにおいや塩分が強い温泉が苦手な人でも、人工温泉なら気にすることもなく入浴ができます。

また、使用される薬剤なども、人体への影響のない医薬部外品なので安心です。

 

・人工温泉に使用される代表的な鉱物

人工温泉に使用される代表的な鉱物について説明します。
「準天然温泉」と呼ばれるこれらの人工温泉は、天然鉱石から作られた医薬部外品を入れていることが特徴です。

 

1.トロン

人工温泉を代表するのが「トロン温泉」です。
遠赤外線効果によって身体をしっかり温めることができ、腰痛や神経痛など計10種類の効能があるといわれています。

ドイツの「バーデン・バーデン」が、今から約2,000年前に天然トロン温泉を発見しました。
美しい肌を生み出し、戦士の傷をいやすことができる名湯ということで、当時から有名でしたが、その秘密は近郊の鉱山で採れる「トロン鉱石」にあったのです。

トロン鉱石は、微弱な放射性物質を含み、強力なイオン化エネルギーの一つとされています。

日本でもトロン鉱石の研究が進み、医薬部外品である「トロン浴素」が生まれました。
医薬部外品であるトロン浴素は、薬機法により認定事業者以外は製造・販売ができません。

 

2.トゴール

トゴールとは、新潟県栃尾または温泉付近で採れる「トゴール・ウォームタイト」のことです。
昭和54年(1979)にトゴール湯の開発・研究が開始されました。

トゴール・ウォームタイトから取れる無機塩類を加工して入浴用にすることで、天然温泉と同様の効用が生じ、腰痛、筋肉や関節痛に効果があります。

また、身体が温まるため睡眠の質が向上した、体がよく動くようになったという実験結果もあるようです。

トゴール鉱石は、豊富なミネラル群を含むため、「湯石」「薬石」と呼ばれ続けてきました。
トゴール湯は、世間に広まった当初は飲むと体調が良くなるなどの記事が新聞に掲載されたこともあります。

 

3.光明石

準天然温泉として有名な「光明石温泉」は、岡山県の阿部高山産の天然鉱物の光明石を使っています。
神経痛、肩こり、痔、産前産後の冷え症、疲労回復、腰痛、リウマチなどに効果があり、無味無臭なのが特徴です。

光明石は、地下深くにある熱水によって変質した石で、灰色・白色・緑色のものがあり、巨大な岩からわずかな量しか採掘できません。
「光明石温泉」は、長原産業株式会社の登録商標になっています。

塩化カルシウム・塩化カリウム・塩化マグネシウム・炭酸水素カルシウムなど計11種類の成分が光明石に含まれています。
お湯は無味無臭なので、ホテルや旅館、老人ホーム、介護施設、マンション、フィットネスクラブでもよく利用されているようです。

 

◆天然温泉と人工温泉の見分け方



天然温泉と人工温泉の見分け方について記載してください。

温泉に入浴するからには誰しも「天然温泉」に入ってみたいものです。
しかし天然温泉か人工温泉かの見分け方はどうすればいいのでしょうか?

 

・「天然温泉」の表示があるか

天然温泉かそうでないかはどのようにして見分けるのでしょうか。
簡単に見分けられる方法はあるのでしょうか。

簡単な見分け方としては、「天然温泉表示マーク」があるかどうかを確かめることです。

日本温泉協会が発行する天然温泉表示マークは、温泉法の基準をクリアした正式な「温泉」であることを証明しています。

 

・天然温泉の掲示

「天然温泉」は温泉法の定めによって、誰もが目につきやすい場所に「泉質名、効能、注意点」などを掲示しなければなりません。

脱衣所や浴室内の壁面などに、温泉の泉質や成分、効能、禁忌症などが掲示されているのを目にしたことがあるのではないでしょうか。

また、加水・加温、循環濾過、消毒などを行っている場合も、そのことを示す追加の掲示が必要とされています。

 

◆それぞれの特徴を知り、温泉を選ぼう


「温泉」には、天然の温泉もあれば、温泉成分を人工的に入れた人工温泉などさまざまなものがあります。
それぞれに特徴や効能がありますので、自分に合った温泉を見つけるのも楽しいものですね。

栃木県にお越しの際は、栃木市の源泉掛け流しの天然温泉「栃木天然温泉 いきいき夢ロマン」にお立ち寄りください。全国でも珍しい天然炭酸水素塩温泉で、日頃の疲れ・旅の疲れをじんわりと癒します。ご来店を心よりお待ちしています。