【温泉入門】温泉の「泉質」とは?主な種類と楽しみ方
2024.06.03
【温泉入門】温泉の「泉質」とは?主な種類と楽しみ方

温泉に行くと脱衣室の壁などに「泉質」などが書かれた「温泉分析書」が掲示されているのを見かけたことがある人も多いのではないでしょうか。

温泉の「泉質」とはいったいどういったもので、どのような種類があるのでしょうか。

この記事では温泉の「泉質」について詳しく解説します。
より楽しく温泉を楽しむためにも、ぜひご一読ください。

 

◆温泉の「泉質」とは?


温泉の泉質は、含まれる化学成分の種類と含有量によって決まります。
温泉のなかでも「療養」に特化し、「鉱泉分析法指針」の基準を満たすほどの豊富な成分を持つものが「療養泉」です。

「鉱泉分析法指針」の基準に満たない場合は、温泉に掲示される温泉分析書に泉質名は記載されません。
その場合は、「温泉法上の温泉」または「温泉法第2条に該当する温泉」と記載されることになります。

療養泉は「鉱泉分析法指針」により主に10種類に分類できます。

 

◆温泉の「泉質」は主に10種類


泉質にはどのような特徴や効果があるのでしょうか。
主な10種類の泉質について一覧表で解説します。

 

1.単純温泉

日本で最も多い泉質です。
肌への刺激が少ないので、お年よりから小さなお子様まで安心して入浴することができます。

 

基準 1キログラム中にガス以外の溶存物質が100ミリグラム未満であること
特徴(色や手触りなど) 柔らかい肌触りがする
効果、適応症 自律神経不安定症・不眠症・うつ状態
有名スポット カルルス温泉(北海道)、由布院温泉(大分県)、道後温泉(愛媛県)

 

 

2.塩化物泉

日本で単純温泉の次に多い泉質となっています。
塩分を主成分とし、無色透明で塩辛いのが特徴です。

 

基準 1キログラム中にガス以外の溶存物質が100ミリグラム以上あり、陰イオンの主成分が塩化物イオンであること
特徴(色や手触りなど) ・塩辛い味がする
・無色透明
効果、適応症 末梢循環障害・冷え性・うつ状態・皮膚乾燥症・切り傷・

湯冷め

有名スポット 定山渓温泉(北海道)、城崎温泉(兵庫県)、和倉温泉(石川県)

 


3.二酸化炭素泉

日本では珍しい「炭酸ガス」を含んでいる泉質です。
入浴すれば、全身に付着した炭酸気泡により、皮膚から炭酸ガスが吸収されるため血液循環が促進されます。

二酸化炭素泉には、天然炭酸泉と人工炭酸泉の2種類があります。

 

基準 1キログラム中に二酸化炭素が100ミリグラム以上含まれていること
特徴(色や手触りなど) ・炭酸ガス成分が溶けて気泡が出る
・天然炭素泉は低温でも温まることが可能
効果、適応症 末梢循環障害・冷え性・自律神経不安定症・切り傷・高血圧・利尿作用・鎮静作用・食欲増進・便秘
有名スポット 湯屋温泉(岐阜県)、有馬温泉(兵庫県)、庄川温泉郷(富山県)、みちのく温泉(青森県)

 

4.硫酸塩泉

含有成分により芒硝泉(ぼうしょうせん)、石膏泉(せっこうせん)、正苦味(せいくみ)泉の3つの種類に分けられます。
その名前の印象とは違って、硫酸塩泉に含まれる保湿成分のため、しっとりとした肌ざわりがあります。

 

基準 1キログラム中にガス以外の溶存物質が100ミリグラム以上あり、陰イオンの主成分が硫酸イオンであること
特徴(色や手触りなど) ・石膏泉は焦げたような匂いがするが、他2つの種類は無臭

・色は無色透明で、時間がたつと緑褐色に濁る場合もある

・味は苦くて渋いサビのようだが、甘く感じる場合もある

効果、適応症 末梢循環障害・冷え性・皮膚乾燥症・切り傷・高血圧・脳卒中。痛風
有名スポット 四万(しま)温泉(群馬)、箱根強羅温泉(神奈川県)、山代温泉(石川県)

 

5.炭酸水素塩泉

肌表面の角質・毛穴汚れを落とす効能があり、肌が柔らかくなった感じがします。

 

基準 1キログラム中にガス以外の溶存物質が100ミリグラム以上あり、陰イオンの主成分が炭酸水素イオンであること
特徴(色や手触りなど) ・薬品のような、あるいは金属のような臭い
・色は無色透明
・カルシウム炭酸水素塩泉の場合、白っぽい石灰質の温泉沈殿物がある
効果、適応症 末梢循環障害・冷え性・皮膚乾燥症・切り傷
有名スポット 嬉野(うれしの)温泉(佐賀県)、黒川温泉(熊本県)、鳴子温泉(宮城県)

 

6.含鉄泉

鉄分を含んでいるので空気に触れると酸化し、透明から茶褐色に変化します。 

 

基準 1キログラム中に総鉄イオンが20ミリグラム以上含まれていること
特徴(色や手触りなど) ・黄色から赤褐色
・鉄がさびた時のような臭いがある
効果、適応症 鉄欠乏性貧血・リウマチ症疾患・更年期障害・子宮発育不全・慢性湿疹・苔癬(たいせん)
有名スポット 草津温泉(群馬県)、有馬温泉(群馬県)、登別温泉(北海道)

 

7.硫黄泉

独特な強い臭いがあるのが特徴です。
硫黄泉はアトピー性皮膚炎などの皮膚病に効能があるとされています。

硫黄泉は肌に対する刺激が強めであるため、入浴後は身体に付いた温泉の成分をシャワーでしっかりと洗い流すことが大切です。

 

基準 1キログラム中に総硫黄が2ミリグラム以上含まれていること
特徴(色や手触りなど) ・無色透明、またはエメラルドグリーン
・卵が腐ったような独特の臭い
・すべすべした湯ざわりがある
効果、適応症 アトピー性皮膚炎などの皮膚病、動脈硬化、高血圧、高血糖
有名スポット 草津温泉(群馬県)、万座温泉(群馬県)、雲仙温泉(長崎県)

 

8.酸性泉

酸性度の高い温泉となっています。

 

基準 1キログラム中に水素イオンが1ミリグラム以上含まれていること
特徴(色や手触りなど) ・無色透明かほんのり黄色
・独特の刺激臭がある
効果、適応症 アトピー性皮膚炎・尋常性乾癬・糖尿病・表皮化膿症・ニキビ・水虫
有名スポット 蔵王温泉(山形県)、草津温泉(群馬県)、登別温泉(北海道)

 

9.放射能泉

「ラドン」という微量の放射線を含んでいる温泉です。
「万病の湯」とも呼ばれ、ほかの泉質にはない適応症を持っています。

 

基準 1キログラム中にラドンが30×10⁻¹⁰キュリー以上含まれていること
特徴(色や手触りなど) ・無臭
・無色透明
効果、適応症 体の免疫力強化、痛風、関節リウマチ、強直性脊椎炎
有名スポット 三朝温泉(鳥取県)、玉川温泉(秋田県)、増富温泉(山梨県)

 

10.含よう素泉

よう素を含んでいるためヨード液を連想させる茶褐色をしています。

 

基準 1キログラム中によう化物イオンが10ミリグラム以上含まれていること
特徴(色や手触りなど) ・茶褐色
・口に含むと独特の苦みがある
効果、適応症 殺菌作用、コレステロール血症、動脈硬化予防
有名スポット 強首(こわくび)温泉(秋田県)、前野原温泉(東京都)

 

◆そもそもなぜ日本には温泉が多い?


そもそも日本にはどうして温泉が多いのでしょうか。

日本の周辺には、東日本から北海道にかけて北米プレートが、西日本から九州・沖縄にかけてのユーラシアプレートが、さらに、その境界上にフォッサマグナ(中央構造線)があります。

くわえて、その境目に東からは太平洋プレートが、南からはフィリピン海プレートが押し上げています。
そのため、日本は108の活火山がある世界4位の火山大国となっているのです。

これらの火山性の温泉に対して、火山とは無関係の非火山性の温泉があります。
地下を掘り進んでいくと100mごとに約3度ずつ地温が上昇していくため、このような非火山性のおんせんが生まれるのです。

ボーリング技術の進歩のため、現在では、2000m以上掘削する技術も利用されるようになり、火山性の温泉よりも、むしろ非火山性の温泉(温泉井戸)のほうが多くなってきました。

 

◆「いきいき夢ロマン」の炭酸水素塩泉で体の芯までポカポカ!


この記事では、温泉の成分である「泉質」について詳しく解説してきました。
温泉にもさまざまなものがあり、自身にあった効効能を持つ泉質の温泉施設やホテルなどを見つけて、ランキングしてみるのも楽しいものですね。

なお、源泉掛け流しの天然温泉「栃木天然温泉 いきいき夢ロマン」は、関東にあり、都心からのアクセスもよく、炭酸水素水を主成分とする、体の芯までポカポカになれるおすすめの温泉施設です。

ぜひ一度お出かけください。